生産管理はきつい?やめとけ?一番きついのは板挟みじゃない【工場14年の元班長】

「生産管理はきつい」「やめとけ」とよく言われます。

ネットで理由を調べると、だいたい「現場と客先の板挟みだから」と書いてあります。

ただ、現場側から14年見てきた立場で言うと、一番きついのはそこではありません。

私は高卒で製造業に入り、現役14年。6社を経験し、5社目では約30人の班をまとめる班長をしていました。生産管理とは毎日やり取りする側の人間です。

この記事を書いた人:こうじ班長。高卒で工場勤務14年・班長リーダー経験ありの工場特化ブロガー。年収・手取りのリアル、転職・キャリアアップ、副業を発信中
この記事でわかること
  • 「無理な計画」が生まれる本当の仕組み(生産管理のせいではありません)
  • 生産管理がきつい5つの理由と、その中で一番しんどいもの
  • 年収の目安(工場の中でも低めになる理由)
  • 向いている人の条件は「数字が得意」ではありません
  • 合わないと感じたときの、現実的な選択肢
目次

結論:きついのは本当。ただし理由が誤解されている

先に答えを書きます。

この記事の結論

生産管理がきついのは、板挟みだからではありません。
自分が持っていない情報の上で、計画を立てさせられるからです。

だから向いているのは、数字に強い人ではなく「自分にない情報を取りに行ける人」です。

意味が分からないと思うので、順番に説明します。

「無理な計画」は、どうして生まれるのか

現場にいると「また無理な計画が来た」という言葉を、それこそ何百回と聞きます。

ただ、班長として実際に中身を確認するようになって、見え方が変わりました。

生産管理は、無理を言っていない

こうじ班長

生産管理も計画があるので、無理なことは言わないんですよ
現場が「これは無理だ」と思うのは、現場が独自に計算しているからです

ここが最初のポイントです。生産管理が出してくる計画は、ちゃんと計算されています。マシンの能力、稼働時間、材料の入荷日。数字を積み上げて作られています。

一方で現場も、自分たちの感覚と経験で別に計算しています。その2つがズレたときに「無理な計画」という言葉が出てくる。

どちらも真面目に計算した結果です。サボっている人はいません。

では何がズレを生むのか

答えははっきりしています。生産管理が知らない情報があるからです。

こうじ班長

機械の調子が良くないとか、計画的に停止させるとか
そういう情報を知らなかったりするので、それが計画に加味されていないんです

生産管理が持っている情報現場にしかない情報
機械のカタログ上の能力あの機械、最近調子が悪い
稼働カレンダー来週、点検で半日止める予定
標準の段取り替え時間今の人員だと、あと20分は余計にかかる
材料の入荷予定日この材料はロットによってバラつきがある

右側の情報は、現場に降りて聞かないと絶対に手に入りません。システムにも入っていません。

この情報が入っていない計画は、数字としては正しくても、現実とは合いません。そしてそのズレの責任は、計画を出した生産管理に向かいます。

本当の問題は、情報が上がっていないこと

こうじ班長

無理な計画はありましたが、計算自体はしっかりされていました
つまり計画は間違っていなかったんです
現場の状況が、上まで上がっていなかっただけで

生産管理の人に、これだけは言いたい

「無理な計画を出すな」と現場から言われて、自分を責めている人がいるなら。
それはあなたの計算力の問題ではありません。

現場の状況が伝わる仕組みが無い、というだけの話です。
そして、それを整えるのは本来あなたの仕事ではありません。

とはいえ、仕組みが無いなら自分で取りに行くしかない、というのが現実です。ここが、この仕事の向き不向きを分ける一番大きな点になります。あとで詳しく書きます。

生産管理の仕事内容【現場から見た実態】

一言でいうと「客先・営業と、製造現場をつなぐ役」です。工場の中にいるのに、仕事の性質は事務職に近い。デスクワークが中心で、現場で手を動かすことはほとんどありません。

やっていること

  • 生産計画を立てる(何を・いつ・どの順番で作るか)
  • 材料・部品の発注と、入荷スケジュールの管理
  • 棚卸し・在庫把握(地道だが外せない)
  • 納期の調整と、客先・営業への回答
  • 現場からの質問への即答(「これ、いつまでに何個?」)

現場から見ていて思うのは、常に全体を頭に入れておかないと務まらない仕事だということです。1つの製品だけ見ていればいい仕事ではありません。

生産管理がきつい5つの理由

① 情報が来ないのに、責任だけ来る

さきほど書いたとおりです。これが一番しんどい部分だと思っています。

計算は合っている。手は抜いていない。それでも計画が崩れると「生産管理が悪い」という空気になる。しかも崩れた原因は、自分が知りようのなかった情報だったりする。

これが積み重なると、「自分の能力が足りないのでは」と思い込んでしまいます。そうではありません。

② 休日でも電話が来る

「やめとけ」と言われる理由として、これを挙げる人は多いです。

工場が土日や祝日も動いていれば、休みの日でも連絡が来ます。「トラブルが起きた、どうする?」「急に納期変更になった」。担当者本人でないと判断できないので、個人の携帯に直接かかってきます。

休日電話がやっかいな理由
  • 工場の稼働日と、生産管理の休日が一致しないことがある
  • 緊急の判断を求められるので、代わりの人が対応できない
  • 会社として残業申請・補償の仕組みがないまま、慣習になっているケースが多い

「休みの日に完全に仕事を切り離したい」という人には、正直きついです。

③ マシンタイムという、動かせない壁

機械が製品を作るのにかかる時間は、気合いでは縮まりません。客先が「明日までに欲しい」と言っても、10時間かかるものは10時間かかります。

その上で、複数の製品の生産順序・段取り替えのタイミング・材料の到着日を組み合わせて計画を組みます。

たとえば「A製品に3時間、B製品に5時間かかる機械が1台しかない。どちらを先に流すか」。単純に見えて、材料の入荷日・客先の締め日・段取り替えのロス時間を同時に考える必要があります。

この見えないパズルを毎日解き続けるのが生産管理です。慣れた人には快感ですが、慣れるまでは頭が追いつきません。新人が納期ミスをしやすいのも、だいたいここです。

④ 給料が上がりにくい

工場勤務というと「夜勤手当と残業で稼げる」というイメージがありますが、生産管理はそれがほぼ期待できません。

夜勤手当日勤がほとんどなので、つかない
資格手当生産管理に直結する必須資格が少ない
残業代裁量的な働き方になりやすく、申請しにくい空気の職場もある

現場のほうが手取りが多い、ということは普通に起こります。責任は重いのに、です。

⑤ 全体を把握し続けるプレッシャー

ラインに立っていれば、目の前の作業に集中できます。生産管理は違います。

全部の製品、全部の機械、全部の納期を常に頭に置いておく必要があります。1つ抜けると、そこから連鎖して崩れます。

この「常に気を張っている状態」が、じわじわ効いてきます。

補足:板挟みは、思われているほど激しくない

ここは正直に書いておきます。

こうじ班長

問題があれば話し合うことが大事なので
基本的に喧嘩などには発展しないから大丈夫です
どっちが上でどっちが下、というのもないですね

「板挟みで精神をすり減らす」という書かれ方をよく見ますが、私が見てきた範囲では、そこまでの対立にはなりません。お互い、話し合えば着地します。

だから「板挟みが怖いからやめておこう」というのは、判断材料としては弱いです。それよりも、情報を取りに行けるかどうかで考えてください。

生産管理の年収はどのくらいか

求人票や公的統計を見ると、製造業の生産管理職の年収はおおむね350〜450万円台が目安です。大手なら500万円を超えることもありますが、中小・中堅では300万円台も珍しくありません。

企業規模目安年収
大手メーカー(従業員1,000名以上)450〜600万円
中堅メーカー(100〜999名)350〜450万円
中小工場(100名以下)280〜380万円

※厚生労働省「賃金構造基本統計調査」および求人票・各種転職サービスの公開データをもとにした目安です。企業・地域・経験年数によって差があります。

さきほどの「三重苦」があるので、年収を上げたいなら会社の規模を変えるのが一番早いのが実情です。同じ仕事内容でも、規模で100万円以上変わります。

向いている人・向いていない人

ここが本題です。よくある「几帳面な人が向いています」という話は、あまり役に立ちません。

向いている人の条件は「自分から取りに行けるか」

この記事の前半に書いたとおり、生産管理の計画が崩れる原因は自分の手元にない情報です。

ということは、向いている人の条件は自動的に決まります。

これが一番大きい適性

机の上で計算を完結させる人は、いつか詰みます。
現場に足を運んで「あの機械、最近どう?」と聞ける人は、計画が崩れません。

数字の能力より、こちらのほうが差がつきます。

向いている人の特徴

  • 分からないことを、自分から現場に聞きに行ける人(最重要)
  • 全体を管理することに面白さを感じる人
  • PCでの数字管理・データ整理が苦にならない人
  • 感情的にならず、冷静に着地点を探せる人
  • 地道な作業(棚卸し・在庫確認)を黙々とこなせる人
  • 現場経験があり、製造の流れを知っている人(かなり有利です)

向いていない人の特徴

  • 手を動かす仕事が好きな人(デスクワーク中心なので、ここは大きい)
  • 休みの日は完全に仕事を切り離したい人
  • 白黒はっきりさせたい人(調整の仕事なので、グレーな着地が多い)
  • 「自分の担当だけやっていたい」タイプ
  • 数字・スケジュール管理が根本的に苦手な人

30秒の自己診断

迷っている人は、この3つで考えてみてください。

質問「はい」なら
分からないことがあったとき、自分から人に聞きに行けるか向いている可能性が高い
ラインで手を動かすより、全体を眺めているほうが楽しいか向いている
休日に会社から電話が来ても、まあ仕方ないと思えるか続けられる

1つ目が一番大事です。ここが「いいえ」なら、数字が得意でも苦しくなります。

配属を打診された/転職を考えているなら

現場経験があるなら、それは武器になります

未経験から生産管理に入ることもできますが、現場を知っている人のほうが圧倒的に有利です。

理由はここまで読んだ方なら分かると思います。現場にしかない情報の存在を、最初から知っているからです。「機械の調子」が計画に影響することを、身体で分かっている。

社内で打診されて迷っているなら、これは大きな判断材料になります。

相手がどんな人かを知っておくと、かなり楽になる

こうじ班長

その人がどんな人で、どんな考え方で計画を立てるか
それを知っておいて損はないですね

これは現場側・生産管理側のどちらにも言えることです。

「この人は納期を最優先する」「この人は在庫を減らしたがる」。計画を立てる人の癖が分かると、来る計画の意味が読めるようになります。そうすると、無駄に揉めません。

それでも合わないと感じたら

やることをやっても、どうしても馬が合わない相手はいます。仕組みも変わらない。

こうじ班長

そういうときは、部署を変えたり転職を考えてみるだけでもアリだと思います
人は変えられないけど、自分なら変わることができるので

ここは無理をしないでいいところです。相手を変えようとして消耗する人を、現場で何人も見てきました。変えられるのは自分の環境だけ、というのは冷たい話ではなく、いちばん現実的な逃げ道です。

今すぐ辞める必要はありません。ただ、自分の経験にどれくらいの値段がつくのかを知っておくだけでも、気持ちの余裕が変わります。

生産管理の経験は、製造業のなかではかなり評価される部類です。全体を見られる人材は、どの工場でも足りていません。

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よくある質問

生産管理は本当に「やめとけ」なんですか?

人によります。ただ「やめとけ」の理由としてよく挙がる”板挟み”は、実際にはそこまで激しくありません。話し合えば着地します。
本当にきついのは自分が知りようのない情報のせいで計画が崩れ、その責任が来ることです。ここを許容できるかで判断してください。

現場と生産管理は、仲が悪いんですか?

そんなことはありません。「無理な計画だ」というやり取りはありますが、話し合いで着地するのが普通で、喧嘩に発展することはまずありません。
どちらが上でどちらが下、という関係でもありません。お互い、自分の持っている情報で真面目に計算しているだけです。

未経験でも生産管理に転職できますか?

できます。ただし現場経験がある人のほうが有利です。「機械の調子」や「段取り替えの実際」が計画に効くことを、身体で分かっているからです。
まったくの未経験なら、まずは中小・中堅の求人から入るのが現実的です。

ラインから生産管理への異動を打診されました。受けるべきですか?

判断は2つです。①手を動かす仕事が好きかどうか ②分からないことを自分から聞きに行けるかどうか。
①が「好き」なら、デスクワーク中心の生産管理はしんどく感じます。②が「できない」なら、数字が得意でも苦しくなります。
なお夜勤手当がなくなるので、手取りは下がる可能性が高いです。ここは先に確認してください。

生産管理の年収を上げる方法はありますか?

会社の規模を変えるのが一番早いです。同じ仕事内容でも、中小(280〜380万円)と大手(450〜600万円)では100万円以上変わります。
夜勤手当も資格手当も残業代も期待しにくい職種なので、社内で上げるより移ったほうが早いのが実情です。

休日の電話は、断ってもいいのでしょうか?

本来は会社として仕組みを整えるべき話です。個人の携帯に緊急判断がかかってくる状態が慣習化しているなら、それは職場側の問題です。
ただ現実には断りにくいと思うので、まず「誰が代わりに判断できるか」を職場で決めておくところから相談してみてください。それも通らないなら、環境を変えることを考えていい段階です。

まとめ

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

この記事のまとめ
  • 生産管理は無理な計画を出していない。計算は合っている
  • 崩れる原因は「機械の調子」「停止予定」など、現場にしかない情報が入っていないこと
  • 一番きついのは板挟みではなく、情報が来ないのに責任だけ来ること
  • 向いているのは数字に強い人ではなく、自分から情報を取りに行ける人
  • 年収は350〜450万円台が目安。上げるなら会社の規模を変えるのが早い
  • 合わないなら、部署替えか転職。人は変えられないが、自分は変われる

生産管理を「やめとけ」と言う人の多くは、板挟みの話をします。でも私が現場から見ていた限り、そこはお互い話し合いで着地していました。

本当にしんどいのは、自分が知りようのなかったことで責められることのほうです。

もし今それで自分を責めているなら、それはあなたの能力の問題ではありません。情報が回る仕組みが無いだけです。

そして、それを自分ひとりで直すのは無理な場合があります。そのときは環境を変えていい。逃げではなく、まっとうな判断です。

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この記事を書いた人

元工場リーダー × 現役メーカー勤務

製造業の工場で10年以上勤務。組み立て・検査工程から現場リーダーへ昇格し、大手メーカーへの転職を実現。

「工場から次のステップへ進みたい」「今の環境を変えたい」という現場で働く人のリアルな悩みに向き合うため、このブログを運営しています。

転職の進め方・エージェントの使い方・工場経験の活かし方など、実体験をもとに発信中。

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