「工場で働きたいけれど、女性にはきついのかな」
「続けられるか不安」
結論から言います。工場のきつさは、女性だからと一律に決まるものではありません。そして私が見てきた範囲では、辞める理由になっていたのは体力ではありませんでした。
私は高卒で製造業に入り、現役14年。6社を経験し、5社目では約30人の班をまとめる班長をしていました。班には20代から60代まで、幅広い年代の女性がいました。

先に、はっきりさせておきます。
私は男性です。女性として工場で働いた経験はありません。
ここに書くのは、班長として一緒に働き、話を聞き、辞めていくところまで見てきた範囲のことです。当事者にしか分からないことは、私には分かりません。そのつもりで読んでください。
ただ、上司の側だったからこそ書けることもあります。なぜ急な休みが煙たがられるのか。上司はそのとき何を考えているのか。そこは正直に書きます。
- 工場で女性がきついと感じる本当の原因(体力ではありません)
- 同じ仕事なのに賃金が違うとき、それは法律上どうなのか
- 急な休みが煙たがられる、その構造(上司側の本音)
- 働きやすい職場を面接で見分ける6つの質問
辞める理由になっていたのは、体力ではありませんでした
「女性に工場は体力的に無理では」とよく言われます。私が退職理由を直接聞けた範囲では、体力を理由に挙げた人はほとんどいませんでした。
ただし、これは「働いている間、体力的につらくなかった」という意味ではありません。立ち仕事、重い物、夜勤、暑さ寒さ。実際にきつい思いをしている人はいますし、辞めるときに本当の理由を言わない人もいます。そこまでは私には分かりません。
ただ、工程によって必要な体力はまったく違います。重い物を扱うラインもあれば、座って検査をする工程もあります。どの工程に入るかで、負担はまるで変わります。
ついでに書いておきます。「女性は細かい作業が得意」とよく言われますが、私はそう思いません。得意な人も苦手な人も、男女どちらにもいました。性別ではなく、その人と工程の相性です。だから「どの工程に入るか」を確認せずに決めるのが、いちばん危ないと思っています。
では、何がきついのか。

この2つです。そしてどちらも、本人の頑張りでは変えられません。順番に説明します。
そもそも、なぜ工場を選ぶのか
その前に、大事な前提があります。
私の班にいた女性たちに理由を聞くと、いちばん多かったのは「もっと稼ぎたいから」でした。
こうじ班長20代の人も、60代の人もいました
みんな、生活のために来ているという点は同じでした
接客やパートより時給が高い。夜勤や交替勤務があれば手当がつく。だから工場を選ぶ。目的がはっきりしている人が多かったです。
これを踏まえると、次の話が効いてきます。稼ぐために来ているのに、稼ぎで不利になる会社があるという話です。
同じ仕事なのに、給料が違う会社がまだあります
少なくなってはきました。でも正直に書きます。
同じ仕事内容なのに、男性の方が給料が高い。そういう会社は、まだあります。
ここは知っておいてほしいところなので、法律の話をします。
「女性であることを理由に、賃金について男性と差別的な取扱いをしてはならない」
これは法律で定められています。違反すれば罰則もあります。
つまり「女性だから安い」は違法です。
ただし、話はそう単純ではありません。実際には「役割が違う」「責任の重さが違う」という説明がされることが多いからです。本当に職務や責任が違うなら、賃金差そのものが直ちに違法になるわけではありません。
ただ、ここでもう一段考えてほしいことがあります。その「役割の違い」は、どうやって決まったのか。
女性だから補助作業に固定される。男性だけが責任のある工程や昇進の対象になる。役割の分け方そのものが性別で決まっているなら、それは男女雇用機会均等法の問題になり得ます。同法は配置・昇進・教育訓練などについて、性別による差別を禁止しています。
だから、判断は簡単ではありません。ただ「うちはそういうものだから」と言われて納得する必要はないということは、知っておいてください。
お住まいの都道府県にある労働局の「雇用環境・均等部(室)」が窓口です。相談は無料で、匿名でも受け付けてもらえます。相談しただけで会社に連絡が行くわけではありません(行政の指導や紛争解決の援助を求める段階になると、会社との調整が必要になる場合があります)。
いきなり大ごとにする必要はありません。「これって普通なんですか」と聞くだけでも構いません。
相談するときは、給与明細、労働条件通知書、就業規則や賃金規程、担当している作業の内容、会社から受けた説明を手元に用意しておくと話が早いです。
なお、工場では男性が正社員、女性がパートや契約社員という分かれ方をしている職場もあります。この場合は男女差とは別に、同じ会社の正社員とパート・有期契約の間の不合理な待遇差という論点になります。パートタイム・有期雇用労働法により、待遇差の内容と理由について会社に説明を求めることができます。



ただ、正直に言うと
この手のことは、会社ごと変えた方が早い場面が多いです
戦うのも、それだけで消耗しますから
ちなみに、いま自分がいる会社の条件が普通なのかどうかは、他社を見ないと分かりません。リクルートエージェントのようなサービスなら、同じ仕事で条件のいい会社があるかを、担当者に探してもらえます。相談だけでも無料です。
急な休みが煙たがられる、その理由(上司側の本音)
ここからが、この記事でいちばん書きたかったところです。
子育てをしながら働いている人は、私の班にもいました。そして急な休みは、実際にありました。子どもは熱を出しますし、保育園から呼び出しも来ます。
正直に書きます。そういうとき、やはり煙たがられていました。
これを読んで「ひどい職場だ」と思われるかもしれません。でも、上司をやっていた側から見ると、少し違う景色が見えます。
私は事情を聞いて調整したいと思っていました
私は、事情を聞いて調整したいと思っていました。子どもの急な発熱で休むことは、認められた権利です。お願いされて許可するようなものではありません。
でも、ここに難しさがあります。



全部聞いてしまうと、今度は不平等になって、あちこちから不満が出るんです
どこまで飲むかが、本当に難しかった
誰かの穴は、誰かが埋めることになります。同じ人ばかりが埋めていれば、その人から不満が出ます。上司はそれも受け止めなければいけません。
ただ、これを書きながら思うことがあります。本当は、私がやるべきことがありました。
- 複数の工程をこなせる人を増やしておく
- 誰かが抜けたときの応援の順番を、先に決めておく
- 穴埋めが同じ人に偏っていないか、記録して確認する
- 人が足りていないことを、数字にして上に上げる
ここができていれば、休む人が謝り続けなくて済みました。できていなかったのは、管理する側の問題です。
煙たがられるのは、あなたが悪いからではありません。
人が足りていない職場では、誰か一人が抜けると必ず誰かにしわ寄せが行く。その構造が原因です。
逆に言えば、人に余裕がある会社では、同じ早退でも空気が変わりません。
その休みは、法律で認められています
もうひとつ、知らない人が多いので書いておきます。
小学校3年生を修了するまでの子どもについて、病気やけがなどを理由に年5日(子どもが2人以上なら年10日)まで休暇を取ることができます。1時間単位でも取得できます。
そしてこれを申し出た、取得したことを理由に、不利益な取扱いをすることは禁止されています。
※ただし、この休暇が有給になるかどうかは会社の定めによります。また、これを超える急な欠勤や早退のすべてが法律で守られるわけではありません。就業規則を一度確認しておいてください。
制度があることを知らないまま、「迷惑をかけている」と思い続けている人がいます。まず、そこは違います。
そのうえで、私はこう考えています。
急な休みを「気にしない会社」を選ぶ。これがいちばん確実です。
気合いでも、根回しでも、我慢でもありません。そういう体制になっている会社かどうか。ここが大きく効きます。
働きやすい職場を見分ける6つの質問
では、どう見分けるか。面接や見学のときに聞けることをまとめました。


それぞれ、何が分かるのかを説明します。
| 質問 | ここで分かること |
|---|---|
| 女性が何人働いていますか | ゼロか1人だと、設備も理解も整っていない可能性が高い |
| 子育て中の人は何人いますか | 実際にいるかどうかが全て。制度があっても使う人がいなければ意味がない |
| 急な早退はどう扱われていますか | 「その都度相談」なら要注意。仕組みになっているかを見る |
| 同じ工程の男女で賃金の決め方は同じですか | 言葉に詰まる会社は、何かある |
| 一番長く働いている女性は何年目ですか | 続けられる職場かどうかが、この一問で分かります |
| 更衣室と休憩場所はありますか | 基本的な設備。ないなら、そもそも想定されていない |
特に効くのが「一番長く働いている女性は何年目ですか」です。制度の説明はいくらでもできますが、実際に長く続いている人がいるかどうかは、ごまかせません。
「面接でこんなこと聞いていいのかな」と思うかもしれませんが、大丈夫です。長く働くつもりだから聞いていると伝われば、むしろ好印象です。
面接で何を見られているかは、こちらにまとめています。


それでも今の職場がつらいなら
ここまで読んで、思い当たることがあったかもしれません。
ただ、いきなり辞める前に確かめられることもあります。工程を変えてもらえないか、シフトを相談できないか。会社によっては、言えば動くこともあります。
それでも変わらないなら、それは会社の体制の問題です。あなたが足りないのではありません。
その場合は、どんな条件の求人があるのかを見てみてください。日勤のみ、土日休み、時短あり。探してみると、思っているより選択肢はあります。在籍したまま見るだけでも構いません。
自分のペースで、まず見てみたい
→ 求人サイトで条件を絞って眺めるところから。登録すると希望条件に合う求人を探しやすくなり、企業からオファーが届くこともあります。
職場の中身まで聞いてから決めたい
→ 担当者がつくエージェントへ。女性が何人いるか、時短の実績があるかを確認してもらえないか相談できます。
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よくある質問
- 体力に自信がないのですが、工場で働けますか?
-
工程によります。重量物を扱うラインもあれば、座って行う検査や組立もあります。応募の段階で「重い物を持つ工程かどうか」を確認してください。
私が見てきた限り、体力を理由に辞めた人はほとんどいませんでした。合わない工程に入ってしまうことの方が問題です。
- 子どもがいると、工場勤務は難しいですか?
-
会社によって、まったく変わります。私の班にも子育てをしながら働いていた人はいました。
大事なのは制度の有無より「実際に子育て中の人が何人いるか」です。前例がある職場なら、急な早退の扱いも決まっています。面接で必ず聞いてください。
- 同じ仕事なのに男性の方が給料が高いようです
-
性別を理由とした賃金差は、労働基準法4条で禁止されています。ただし実際には「役割が違う」と説明されることが多く、判断は簡単ではありません。
気になる場合は、お住まいの都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に無料で相談できます。匿名でも受け付けてもらえます。まず「これは普通のことなのか」を聞くだけでも構いません。
- 女性の人間関係がきついと聞きますが、実際どうですか?
-
これは女性に限った話ではありません。男性ばかりの班でも、人間関係のもつれはあります。
ただ人数が少ない職場では、相性の合わない人がいると逃げ場がなくなります。人数の多い職場を選ぶのは、それだけで有効です。
- 何歳まで働けますか?
-
私の班には60代の方もいました。年齢を理由に難しくなるというより、工程が体に合うかどうかです。
長く続けている方ほど、自分に合った工程を見つけている印象がありました。
- 未経験でも正社員になれますか?
-
なれます。パートから正社員に登用された人を何人か見ています。
ただし登用の実績があるかどうかは会社次第です。「これまで何人が正社員になりましたか」と聞けば、実態が分かります。
まとめ:頑張りではなく、会社選びで決まります
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
- きついのは体力ではなく「会社の制度」と「周りの目」
- 同じ仕事で賃金に差があるなら、労働基準法4条に反する可能性がある
- 急な休みが煙たがられるのは、人が足りていない構造が原因
- だから「気にしない会社」を選ぶのがいちばん確実
- 面接で「一番長く働いている女性は何年目ですか」と聞く
- 細かい作業の得意不得意は、性別ではなく個人差



上司の立場でも、変えられないことはたくさんありました
だからこそ、無理をして残る必要はないと思っています
続けられるかどうかは、あなたの頑張りでは決まりません。職場の体制で決まります。そこを見極められれば、工場は長く働ける場所になります。










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