工場男子また夜中に呼び出された…
設備保全って、こんなにきつい仕事だったっけ
その気持ち、隣で見ていた側としてよく分かります。
私は高卒で製造業に入り、現役14年。6社を経験し、5社目では約30人の班をまとめる班長をしていました。私自身は設備保全ではなく、生産ラインの側です。つまり、保全の人を「呼ぶ側」にいました。


先に、はっきりさせておきます。
書けること
呼ぶ側から見ていた設備保全の姿。現場が保全にどう接していたか。私が助けられた場面。
書けないこと
呼び出された本人が実際にどう感じていたか。保全の人が辞める・辞めない本当の理由。これらは私の推測でしかありません。そのつもりで読んでください。
そのうえで、14年見てきて気づいたことがあります。
設備保全がきついと言われる理由は、隣で見ていて分かります。でも同時に、在籍中に把握できた範囲では、保全から別の職種へ移った人をあまり見ませんでした。
これは何を意味するのか。この記事の中心はそこです。
- 設備保全がきついと言われる理由(呼ぶ側から見た実際)
- そのつらさが「仕事」なのか「今の職場」なのかの見分け方
- 現場が保全の人をどう見ていたか(正直な話)
- それでも辞めるときの、現実的な転職先4つ
設備保全がきついと言われる5つの理由
まず、きつさの中身を整理します。呼ぶ側から見ていて「これはしんどいだろうな」と思っていたことです。
① 呼んだあと、任せっきりにされる
正直に書きます。現場は、保全を呼んだらあとは任せっきりになります。
設備が止まって「これは自分たちでは分からない」となった瞬間、すぐ呼ぶ。そして直るまで待つ。どうやって直しているか、どれくらい難しいことなのかは、正直あまり見ていません。



現場からすると「早く直してくれ」しかないんです
この「全部お前に任せた」が、いちばんのプレッシャーだと思います
② 深夜・休日の呼び出しがある
設備は時間を選んで壊れてくれません。夜中でも、休みの日でも、止まれば呼ばれます。
私はその場面を何度も見ています。呼ばれて出てきた保全の人は、表向きは「別に」という顔をしていました。でも、



顔には出していなかったけど
たぶん、すごく嫌だったと思います
ひとつ、印象に残っていることがあります。
呼び出されて来た保全の人は、車を工場の一番前に停めていました。普段なら決められた場所に停めるルールがあるのに、そこは気にしていない様子でした。
それを見て、私はこう思ったんです。
本人の中では「仕事であって、仕事でない」ような時間なんだろうな、と。
所定の勤務時間ではないのに呼ばれている。でも仕事はしないといけない。その中途半端さが、時間の長さ以上に人をすり減らすのではないかと思います。
なお、会社の指示で実際に作業した時間は、原則として労働時間です。残業として扱われているか、呼び出し手当や移動時間、代休がどうなっているかは会社ごとに違うので、一度確認しておいてください。
③ うまくいっているときは、誰にも気づかれない
設備保全の仕事が一番うまくいっている状態は、「ラインが止まらないこと」です。
でも、ラインが止まらない日に保全のことを考える人はいません。問題が起きたときだけ呼ばれて、うまくいっているときは存在を忘れられる。
「縁の下の力持ち」という言葉がぴったりです。ただ、縁の下は日当たりが悪いんです。
④ 現場が強い会社では「何でも屋」にされる
工場には、製造ラインの発言力が強い会社と、保全が対等に扱われる会社があります。
現場が強い会社では、「この機械も見てくれ」「あそこも頼む」「今すぐ来てくれ」が日常になります。本来の担当を超えた依頼が積み上がっていきます。
私が勤めた会社のひとつでは、品質管理と設備保全を一人で兼務させているところもありました。2つの部署の仕事を一人で回すことになるので、負担は相当なものです。
⑤ 覚えることが多く、その工場でしか通じない知識も多い
機械、電気、油圧、空圧、制御。覚える範囲が広いうえに、「この設備のクセ」は、その工場で長く働かないと分からないものです。
結果として「あの人が辞めたら工場が回らない」という状態が生まれます。頼られている証拠ではありますが、辞めにくさにもつながります。
それでも、保全を辞めた人をほとんど見ませんでした
ここまで読むと「やっぱりきつい仕事なんだな」と思われたかもしれません。
ところが私が在籍していた6社では、在籍中に把握できた範囲で、保全から別の職種へ移った人をあまり見ませんでした。
ただし、これは設備保全の定着率を示す話ではありません。私が在籍していた期間に、私が知り得た範囲の話です。保全の担当者は生産ラインより人数が少ないので、そもそも辞める人の数も少なく見えます。私が辞めたあとのことも、社内で別の部署に移った人のことも把握していません。
それでも印象に残っているのは、生産ラインの人が辞めていく場面は何度も見てきたからです。あくまで私の体感として、受け取ってください。
なぜなのか。本人に聞いたわけではないので、ここからは私の推測です。
- 機械をさわる仕事が、単純に好きな人が多い
- 技術が身につくので、他社でも通用する実感がある
- 「自分が抜けたら回らない」という責任感がある



だからこそ、思うんです
つらいのは「保全という仕事」じゃなくて、「今の職場での扱われ方」なんじゃないかと
ここを分けて考えないまま辞めると、次の職場でも同じことが起きます。逆に、職場の問題なら、仕事を変えずに環境だけ変える手があります。
そのつらさは「仕事」ですか、「職場」ですか
ここがこの記事で一番大事なところです。当てはまる方を数えてみてください。


| 仕事そのものがつらい | 今の職場がつらい |
|---|---|
| 機械や設備に興味が持てない | 呼び出しの回数が多すぎる |
| 覚えることが多すぎて苦しい | 呼ばれたあと、任せっきりにされる |
| 一人で抱える働き方が向いていない | やったことが評価されない |
| 直っても達成感がない | 担当外の仕事まで押しつけられる |
| この仕事を続けたいと思えない | 人が足りていない・交代要員がいない |
右側が多かった人
職種を変える必要はないかもしれません。保全のまま、会社だけ変えるのが最短です。呼び出しの頻度も人員体制も、会社によってまったく違います。
左側が多かった人
ここは正直に向き合った方がいいです。機械に興味が持てないまま続けるのは、しんどさが増えていくだけです。職種を変える選択肢を考えていい段階だと思います。
現場は、保全の人をこう見ていました
ここで、あまり語られない話をします。呼ぶ側が保全をどう見ていたか、という話です。
正直に言うと、最初は「楽そうだな」と思っていました
白状します。現場で働き始めたころ、私は保全の人を見て「ふらふら歩いていて楽そうだな」と思っていました。
製造ラインは常に動いていて、誰かが何かをし続けています。それに対して保全の人は、工場の中をゆっくり歩き回っている。そう見えていたんです。
これは完全に、見ている側の誤解でした。
あの歩き回っている時間は予防保全にあたる仕事で、設備の異音、振動、熱、油のにじみを、全身で拾いながら歩いている時間でした。壊れる前に気づくための時間です。
| 種類 | 中身 | いつ行うか |
|---|---|---|
| 予防保全 | 壊れる前の点検・部品交換・状態の監視。決まった期間で交換するやり方と、振動や温度から傷み具合を見て判断するやり方がある | 計画的に行う |
| 事後保全 | 故障や異常が起きたあとの修理・復旧 | 突発的。夜間・休日もある |
| 改良保全 | 同じ故障が起きないよう、設備そのものを直す・作り変える | 再発防止のとき |
後からこれを知って、見方が変わりました。「楽そう」に見えていたのは、うまくいっている証拠だったわけです。
そして、何度も助けられました
班長をしていたので、簡単な調整くらいなら自分でもできます。でも、詳しいわけではありません。
原因が分からない不良、急に出はじめた異音、直したつもりでまた止まる設備。こういうとき、最後に頼りになるのは保全の人でした。



助けてもらったことは、本当にたくさんあります
口に出して言えていたかは、自信がありませんが
もしいま「誰にも見られていない」と感じているなら、これだけは伝えたいです。現場は、あなたを頼りにしています。言葉にしていないだけです。
保全を続けたいなら、会社を変えるだけで解決することがあります
先ほどの表で右側(今の職場がつらい)が多かった人へ。
同じ「設備保全」でも、会社によって働き方はまったく違います。
- 保全が何人いるか(一人体制か、交代できる人数がいるか)
- 夜間・休日の呼び出しに手当がつくか、当番制になっているか
- 保全の担当範囲が決まっているか(何でも屋になっていないか)
- 外注をどこまで使っているか
ここが違うだけで、しんどさは大きく変わります。仕事は変えずに、環境だけ変える。これができるのが保全の強みです。
転職の前に、今の会社で変えられる余地があるかもしれません。当番制にできないか、外注をもっと使えないか、呼び出しに手当や代休をつけられないか。人が足りていないなら、それは会社が解決すべき問題です。
一度上司に相談してみて、それでも動かないなら次を考える。この順番でも遅くありません。
ただ、こうした中身は求人票には書かれていません。技術職を専門に扱っているエージェントなら、「月の呼び出し回数」「当番の人数」「外注の範囲」「代休が取れているか」を確認できないか、相談できます。
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設備保全の経験が活きる転職先4つ
職種ごと変えたい人、あるいは選択肢を知っておきたい人へ。保全の経験は、思っているより広く使えます。


① 他社の設備保全(いちばん評価されやすい)
経験がそのまま伝わりやすいのがここです。設備の種類や制御の方式が近い工場を選べば、覚え直しも少なくて済みます。
ただし同じ「設備保全」でも、担当範囲や体制は会社によって大きく違います。年収が上がるかどうかも会社次第なので、条件は必ず確認してください。
② 設備保全の専門会社
保全だけをやっている会社です。技術を深めたい人向け。いろいろな設備に触れられる反面、客先に出向く形になることが多いです。
③ ビルメンテナンス
建物の設備(空調・電気・給排水)を管理する仕事です。工場の生産設備とは対象が変わります。
ただし「必ず生活が規則的になる」とは限りません。病院・ホテル・商業施設など24時間動いている建物では、交替勤務や緊急対応があります。宿直の有無、夜勤、呼び出し体制は求人ごとに確認してください。
収入面も、工場の保全にあった交替手当や呼び出し手当がなくなる分、下がる場合があります。ただし電験三種などの資格で変わるため、一律ではありません。
④ サービスエンジニア(メーカー側)
機械メーカーの側に立って、客先の設備を据え付けたり直したりする仕事です。故障を見つけて直す経験は重なります。
一方で、客先とのやり取りや出張、そのメーカー固有の知識が新しく必要になります。移動の多さは事前に確認してください。
設備保全の将来性や年収の相場は、こちらで詳しく整理しています。


転職するときに、これだけは準備してください
保全の人が損をしやすいのが、ここです。
やってきたことを、書き出せていない人が多いんです。毎日当たり前にやっているので、価値だと思っていない。
- 担当した設備(メーカー名・種類・台数)
- 持っている資格(電気工事士・危険物・機械保全技能士・フォークリフトなど)
- 直した実績(止まる回数が減った、対応時間が短くなった、など数字で)
- 改善したこと(部品の在庫管理、点検表の作り直し、後輩への引き継ぎ資料など)
特に数字が効きます。「月に5回止まっていたのを2回に減らした」と書けるだけで、伝わり方がまるで変わります。
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よくある質問
- 設備保全は「やめとけ」と言われますが、本当ですか?
-
呼び出しがある、評価されにくい、覚えることが多い。これらは事実なので、そう言われる理由は分かります。
ただし会社によって差が非常に大きい仕事です。保全が何人いるか、当番制になっているか、担当範囲が決まっているかで、まったく別の仕事になります。「保全はやめとけ」ではなく「この体制の職場はやめとけ」が実態に近いと思います。
- 設備保全は底辺の仕事ですか?
-
まったく違います。呼ぶ側にいた立場で言いますが、設備が直らなければ、ラインは動きません。私も何度も助けられました。
うまくいっているときほど目立たない仕事なので、そう言われることがあるのだと思います。ですが、工場が動いているのは設備が動いているからです。
- 仕事が覚えられません。向いていないのでしょうか
-
設備保全は覚える範囲が広いうえに、その工場固有の知識も多いので、時間がかかって当たり前です。
気にしてほしいのは教えてもらえる体制があるかです。一人体制で、聞ける先輩もいない状況なら、それは本人の能力ではなく職場の問題です。
- 経験年数が短くても転職できますか?
-
できます。1〜2年でも、担当した設備と資格を具体的に書ければ評価されます。
特に電気工事士や機械保全技能士を持っていると、経験年数の短さを補えます。未経験可の保全求人もあるので、年数だけで諦めないでください。
- ビルメンに移ると年収は下がりますか?
-
下がることが多いです。工場の設備保全は交替勤務手当や呼び出し手当が乗っているため、その分がなくなります。
ただし夜間の突発対応は減り、生活リズムは整いやすくなります。収入を取るか、時間を取るかの選択になります。資格(電験三種など)を取れば、ビルメンでも収入は上げられます。
- 辞めたいと言っても引き止められそうです
-
保全は「あの人が抜けたら回らない」と言われやすい仕事なので、引き止められることは多いです。
ただし人員の補充は会社の責任であって、あなたの責任ではありません。引き継ぎの資料を作って渡せば、果たすべきことは果たしています。
まとめ:現場は、あなたを頼りにしています
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
- 設備保全がきついのは事実。呼び出し・任せっきり・評価されにくさが原因
- ただし保全を辞めて他の仕事に移った人は、私はほとんど見なかった
- つらさが「仕事」か「職場」かを先に分ける
- 職場が原因なら、保全を続けたまま会社を変える方が早い
- 担当設備・資格・直した実績を数字で書き出しておく
- 現場はあなたを頼りにしている。言葉にしていないだけ
「ふらふら歩いていて楽そう」なんて思っていた自分が、恥ずかしいです
あれは、壊れる前に気づくための時間だったんですよね
辞めるにしても、続けるにしても。まず「仕事か、職場か」を分けてください。そこさえ間違えなければ、大きく遠回りすることはありません。









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